2026年1月中旬より、インフルエンザB型が流行し始めています。タミフルの処方時に、不安を訴えるご両親が時々いらっしゃるので、今回は「タミフル内服で本当に異常行動が誘発されるか」についてご説明します。
1.なぜ「タミフル=異常行動」という印象があるのか
2005年~2007年頃、タミフルを服用したお子さんが”2階から転落した、窓から飛び降りた、家から外に走り出して車にひかれた”などの衝撃的なニュースが報道されました。”意味不明な言動や妄想、幻覚””興奮、錯乱、意識障害”などの症状も指摘されました。特に10代のこどもで問題になり、ここからタミフルが異常行動を起こすという印象が社会に定着しました。2007年には10代のこどもに対してタミフルの使用制限がされました。
2.大規模な調査で分かった事実
このような状況に対して「タミフルと異常行動の関係性に関わる調査」が行われました。(厚生労働省廣田班疫学調査)調査内容はインフルエンザと診断された18歳未満の約10,000人を対象に、タミフル服用の有無と異常行動の発現割合を比較した疫学調査です。その結果、以下の事が判明しています。
・薬の有無は関係ない:タミフルを「飲んだ子」と「飲んでいない子」で、異常行動が起こる割合に差はありませんでした。
・他の薬でも起こる:リレンザ・イナビル・点滴薬ラピアクタなど他の治療薬でも同様の報告があります。
・ウィルスの影響:異常行動は、薬に関係なくインフルエンザそのもの(高熱やウィルスによる脳への影響)によって、発症後48時間以内に集中して起こります。
今の考え方としては、「異常行動はインフルエンザウィルスそのものによって引き起こされ、タミフルが原因とはいえない」「インフルエンザに罹患した場合、薬の有無にかかわらず、最初の2日間は異常行動に注意する」という事になるかと思います。薬物動態上も、タミフルの脳への移行はわずかで(血液・脳関門通過性はわずか)で、動物実験からも異常行動を起こす可能性は低いことが指摘されています。

3.ご家庭で気を付けていただきたいこと
・窓やドアにカギをかける
・ベランダに面してない部屋で寝かせる
・1階の部屋で過ごす
など対策をとり、お子さまの様子を見守ってあげてください。