舌下免疫療法

スギ花粉症に対する舌下免疫療法が、小児にもできるようになりました

今までは12歳以上でなければ行うことができなかったスギ花粉舌下免疫療法が、2018年6月下旬から小児にも行えるようになりました。スギ花粉症にお悩みの方へお勧めです。

舌下免疫療法とは?

   アレルギーの原因物質(アレルゲンと言います。)を少量ずつ長期間投与し、体をアレルゲンに慣らしてアレルギー反応を起こしづらくする治療法です。アレルゲンに対する免疫反応を根本的に抑え込み、治癒が期待できます。

   舌下に薬剤を保持し、飲み込むという簡単な治療です。痛みがなく、重篤なアレルギー反応もほとんどありません。また、自宅で治療ができます。

舌下免疫療法を行う前に

   スギ花粉症の診断確定のために、問診や血清抗体検査などを行います。

舌下免疫療法のやり方

   シダキュアという薬品を、「1日1回1錠、舌下にて1分間保持した後、飲み込む」という簡単な治療法です。舌下に薬剤を保持できるお子さんであれば治療が可能で、5歳頃から始めることができます。毎日自宅で行うため、治療や副反応に対する理解が必要となります。

舌下免疫療法の利点は?

   舌下免疫療法で8割の方に効果があり、そのうち2割が治癒、残り6割が「治癒はしないけれども効果はあった」との報告がありました。つまり、スギ花粉症による睡眠障害やイライラ感、集中力の低下といった生活の質(QOL)を改善させる効果が認められ薬の使用量も減らすことができた、という結果でした。小児に対する効果も成人と同等であるとされています。

   舌下免疫療法を受けない人と比べて、今後別の花粉などに新たに感作される可能性が少なくなることも報告されています。

舌下免疫療法を行うにあたっての注意点

   アレルゲンを投与する治療なので、アレルギー反応を引き起こす可能性が否定できません。ショック、アナフィラキシーのような重篤な副反応は極めてまれとされていますが、舌や口の中の腫れ、のどや耳のかゆみ、じんましん、下痢・嘔吐などの軽い副反応は高い確率で出現します。治療を必要としない場合が多いのですが、なかなか改善しない場合は治療を要します。

   副反応は内服後30分以内、治療開始後1ヶ月以内、またスギ花粉が飛散している時期に起きやすいので注意が必要です。

   治療期間は3~5年で、スギ花粉の飛散していない時期でも毎日行う必要があります。即効性は期待できない治療ですので根気が必要です。また、効果が認められない方も2割程度いますので、治療前の効果の予測ができないという難しい点があります。

治療の開始時期

   スギ花粉が飛散している時期には治療を開始できません。この時期はスギ花粉に対する過敏性が高く、副反応が起こりやすくなりますので、6月から11月頃に開始します。

効果が認められる時期

   スケジュール通り治療が行われると、初めてのスギ花粉飛散シーズンから効果が期待でき、3~5年継続することで最大の効果が得られるとされています。

   治療終了後に再度症状が認められた場合は、舌下免疫療法を再開することで再び効果が期待できると言われています。

ダニによる通年性アレルギー性鼻炎と並行して治療の開始ができる?

   ダニアレルゲンによるアレルギー性鼻炎に対しても、舌下免疫療法が2015年から認可されています。スギ花粉以外にダニに対してもアレルギー性鼻炎がある方は、並行して治療が可能ですが、同時に治療は開始できません。まずはどちらかを開始して、症状が安定してからもう一方の治療を開始してください。ダニアレルギーの場合、梅雨時と秋口に症状が悪化する傾向があります。この時期に治療を開始するのは避けるべきでしょう。

舌下免疫療法を受けられない方

   シダキュアでショックの既往がある方

   重症喘息の方

舌下免疫療法を行う際に注意が必要な方

   アレルゲンエキスを使った検査・治療でアレルギー症状が出たことのある方

   喘息患者

   悪性腫瘍・自己免疫疾患・免疫不全などのある方

   重症心疾患・肺疾患・高血圧のある方

   薬を内服されている方(βブロッカー、三環系抗うつ薬、ステロイドなど)

舌下免疫療法が勧められる方

   薬物療法で効果が不十分な方

   眠気などの副反応が強く、勉強や仕事に差し支えがある方

   少しでも薬を減らしたい方

   多数の花粉にアレルギーがあり、治療によるQOLの改善を期待される方

治療をお考えの方に

   長期間に渡る治療で根気がいる

   副反応が起こりうる

   必ずしも全ての人に効果が出ない場合もある

などを考慮したうえで治療をお考えください。

【参考文献】舌下免疫療法の最新の知見 スギ花粉症を中心に 日耳鼻120: 1305-1310,2017